奥田 泰広 「インテリジェンス・オーバーサイトの国際比較」
そう遠くない将来、日本でも再び論じられるであろう情報機関創設という課題。そのステップにおいて重要なのは、 活動を隅々まで公開することができない情報機関の活動を、いかに民主的に監査して暴走を防ぐ手段を持つかという点である。
本論で筆者はアメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、オランダにおける情報機関の監査の仕組みを紹介する。アメリカが制度上は議会に大きな権限があるというのは意外なことであった。
そしてカナダについてその制度を特に細かく紹介していく。 CSISというカナダの情報機関は内部監査とSIRC(保安情報調査委員会)からの監査を受ける。 このSIRCメンバーは首相が野党党首と協議して選ばれた3-5名であり、閣僚間の私信を除く全ての情報へのアクセスを許されている。 筆者はSIRCが一般公開する「年次報告」を精読し、SIRCの見解の移ろいをいくつか指摘する。特に9.11以降、CSISの業務の重要性が繰り返し言及されるようになり、国外における情報活動についてお墨付きを与えている。
SIRCのメンバーリスト Current Committee - SIRC
この研究はまた数年後に再評価されるのだろう。
奥田 泰広 「インテリジェンス・オーバーサイトの国際比較: アメリカ、ヨーロッパ、カナダにおける立法府による監査」 戦略研究 (7), pp51-71, 2009
- 作者: 戦略研究学会
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