パズル・パレス ジェイムズ・バムフォード著
- 作者: ジェイムズバムフォード,滝沢一郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1986/09
- メディア: 単行本
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NSAおよびその前身となった組織におけるSIGNITの成立の歴史を紐解く一冊。筆者の取材がどれだけ大変だったのかは想像を絶する。
本書の内容を通じて、過去からの教訓としていくつか抜き出すとすれば、次の3つだろうか。
情報機関の本部は「ど」田舎には作れない
1950年、NSAの前進であるAFSAはケンタッキー州フォートノックスに移転が決められた。しかしAFSAは通常の軍機関ではなく職員もエリート科学者・数学者であり、職員は移転に大反対。結果1952年1月4日に国防長官は命令を撤回し、やがてD.C.に近いフォート・ミードへの移転が決まった。(p73あたりから要約) つまり今後も情報機関は各国の首都やそれに近い場所に物理的に位置するのであろう。
暗号解読よりも簡単な方法がある
暗号解読学は鉛筆からクレイ1コンピュータにいたるまでに目覚しい変化をとげたが、つねに変わらない原則がひとつある。暗号解読を試みるより、暗号を盗むほうがはるかに簡単で経費もかからないということだ。 p286より引用
組織内情を暴露せんとする職員はスノーデンが初めてではない
スノーデン以前にNSAの秘密を外部に公表したものとしては、マーティンとミッチェル(1960年)とジャック・エドワード・ダンラブ(1960年台)、ヴィクター・ノリス・ハミルトン(1963年)などがいる。 NSAは今後も同様のスキャンダルへの対応が必要になるのであろう。