Before Cyberspace Falls Down...

"Atoms for peace and atoms for war are Siamese twins” Hannes Alfven

「はてな」はもう海外ユーザを獲得しようとはおもってないんだろうな。

無料でブログを使わせて頂いている身でこんなこと言うのはあれだが、はてなの英語インターフェースは英語が素人にもわかるくらいおかしい。

一番わかりやすいのがこれ。課金サービスの説明ページ。

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Hatena Blog Proにしようと思ってこのページを見ても

  • 肝心の値段がいくらかわからないと思う。Less thanって言いたいのか?
  • Priceの行にロゴいれるひつようない
  • Don't add keyword linkって変。turn off(disable) keyword linkとかのほうがわかりやすい。
  • 「ブログメンバー」だけ日本語?

要はタイトルのとおり、はてなはもう国内市場しかみてないんだろうね。かなC。

中西寛 『国際政治とはなにか』

国際政治の名著として推薦されているので図書館でかりる。あちこちに至言が並んでいて、それでいて難しくない。

p4

バーナード・ショーが書いた喜劇運命の人の一節 「イギリス人は生まれつき世界の支配者たる不思議な力を持っている。彼はあるものが欲しい時、それを欲しいということを彼自身にさえ言わない。彼はただ辛抱強く待つ。そのうちに、彼のほしいものの持ち主を征服することが彼の道徳的宗教的義務であるという燃えるような確信が、どういうわけか、彼の心に生じてくる。・・・・・・彼は効果的な道徳的態度を見つけ出すのに決して不自由することがない。自由と国民的独立とを振りかざしながら、世界の半分を征服し併合して植民と称する。またマンチェスターの粗悪品のために新しい市場が欲しくなると、まず宣教師を送り出して土人に平和の福音を教えさせる。土人がその宣教師を殺す。彼はキリスト教防衛のために武器を執って立つ。キリスト教のために戦い征服する。そうして天からの報いとして市場を手に入れる。 (中略) 彼は何事でも原則に基づいてやる。戦うときには愛国の原則に基づいている。どろぼうするときには、実業の原則に。他人を奴隷化するときには、帝国主義の原則に。・・・国王を支持するときには王党派の原則に、国王の首を切り落とすときは共和制の原則に基づく。彼の標語は常に義務である。しかしイギリス人は、その義務が自らの利益に反するようなものは敗者だということを決して忘れはしないのである。」

p12-13

朝河貫一いわく

日露戦争後の日本の南満州での行動は諸外国に畏怖と警戒心をつよめた。アメリカは門戸開放・領土保全の2大原則を中国に提唱し、広く指示されている。日本の行為は独善的で、アメリカは偽善的かもしれないが、両者の選択を迫られた時、第三者はよりましなほうとして後者をえらぶだろうというのである。

ショウの喜劇はイギリス人に向けて書かれたもので、観客は苦笑したはずである。反省を促し、偽善を正す必要を再確認させる。そこに自己を客観化する目があり、精神に余裕が生まれる。 「余裕が風刺をうむだけでなく、風刺が余裕を生む面がある」

p22

国際政治は「主権国家体制」「国際共同体」「世界市民主義」の3つの位相が交じり合ったものである

p26

国際政治の大半は、自己の国益を守ることと世界的な公共利益のために行動するという二つの要請の間で、いかに妥協を図るかという点につきるからである。

p88

ホッブズは、自由な個人にとっての最枠の状態は心理的恐怖の無限増殖であると見抜いた。これに対してホッブズの与えた回答は、内面的恐怖を黒花の支配の恐怖に転化することであった。支配の恐怖の下でのみ、内面的恐怖の無限の増殖を抑制しうる。ここにホッブズは自由な近代人が自ら進んで国家の支配を受け入れる根拠を提示したのである。人間の内なる恐怖を外部に放逐し、人々に安全を提供する事こそが、近代国家の存在根拠だとホッブズは定義したのである。」

p94

国家が集合的人格と捉えられるようになればなるほど、人間理性がもたらすホッブズ的恐怖が国家の間にも作用する危険性が高まることになった。」 「国家が将来への不安から安全を追求し、そのことが他国の不安をいっそう駆り立てて相互恐怖の悪循環に陥ることを「安全保障のジレンマ」という。」

p99

集団安全保障がなぜ失敗したか、「集団安全保障はその理念と裏腹に、あらゆる紛争を世界戦争へと転化しかねない体制なのである。」

p103

第一次世界大戦について 「戦争は国民同士の総力戦となり、その帰趨は戦場における軍隊の行動でなく、軍隊を支える銃後によって決するものとなったのである。」

p110

「原爆を持たない国は、自らを本当の意味で独立していると考えることはできない」ド・ゴール元フランス大統領

p114 現代の軍事力について

「主権国家として独立を担保し、国際政治の秩序を維持するために、一定程度の軍事組織を持つことが一般的な選択であろう。重要なのは現代の軍事力は国際秩序の中でその機能を発揮する政治的手段であり、国家を不可侵にしたり、他国を力によって支配したりするものではない点を認識することである。」

小川晃通 『アカマイ―知られざるインターネットの巨人』

akadns.netという名前はよくお目に掛かるが、その中身について一切知らなかったので手にとった。書名こそアカマイであるが、中身はアカマイの仕組みにとどまらず、寡占化がすすむインターネットの有り様を描いている。 セキュリティに関して言えば確かにオリジンサーバの保護としてアカマイは有効だと思う一方で、万が一アカマイの配信ネットワークが侵入された場合、トラフィックの30%を改ざんされてしまうという新たなインターネットの急所が生まれていると感じた。

本書の大変わかりやすい解説を読んだ上で疑問も幾つか残った。まず最終的に一つのデータベースにアクセスするようなWebアプリケーションなど動的なページにアカマイはどう対応しているのかという点。次にアクセスログなどは配信サーバにしか残らないのではないかという点。最後に本書にかかれるようにアカマイがDNSキャッシュサーバのIPアドレスから一番近い配信サーバを選ぶのだとすれば、GoogleDNS(8.8.8.8)などを使っている場合どうなるのかという点である。 アカマイはもっと他の情報も集めているのではないだろうか。

面白かった点メモ

AS同士の接続は金(経費負担)と力(トラフィック量および持っている経路情報)によってきまる。

トランジット

トランジットを提供する: 大きな組織が小さな組織からお金をもらってパケットを運んであげる トランジットを購入する: 小さな組織がお金を出して大きな組織にパケットをインターネットから運んできてもらう

トランジットはパケット転送について支払いが発生するが、それ以外に2つの組織を結ぶ物理的な回線費用は通常小さな組織が負担する。

ビアリング(ピア)

AS間でトラフィックを交換しあう。トランジットの場合と違うのは多くの場合無償であること。全ての経路情報を交換するのではなく自ネットワークの経路のみを交換すること。したがって成立するのは同規模の組織の間であること。

自AS内にアカマイの配信サーバがあれば、上位ISPへの支払いがへるというのがISPにとってのAkamaiサーバ設置のメリット。

ティアワンとハイパージャイアン

ティアワンISPはインターネットを支配していると考えられがちだが、設備投資等で経営は必ずしも楽でない。近年ではハイパージャイアントとよばれるトラフィック転送量ランキング上位組織の発言力が増している。(例:アカマイ、コムキャスト、グーグル、フェイスブック、ライムネットワークスなど)

インターネットに接続していても全てのASの経路情報を持っていないことは、珍しくない。

 アカマイのポジション

アカマイは強くて弱い存在。対ISPではアカマイサーバを置くことでISPのコスト削減ができるため、強い。対コンテンツ事業者では、他のCDNへの乗り換えなどを考えるとあくまで選択肢の一つ。

Mitchell Zuckoff "13 Hours"

ベンガジで発生した2012年アメリカ在外公館襲撃事件について、ベンガジのCIA拠点の警備担当の”Operator”の視点から描く。

13 Hours: The Inside Account of What Really Happened In Benghazi

13 Hours: The Inside Account of What Really Happened In Benghazi

背景: 

リビヤは地中海に面する良港トリポリベンガジを有し、それ以来様々な権力から「北アフリカへの玄関」として侵入されつづけていた。1959年に世界の石油生産量の2%にあたる原油が確認されてから、この国自体に欧米の関心が集まるようになる。

リビヤは西のリビヤ、東のベンガジの2つの大都市をもつが、当時の政権は油田が東部にあるにも関わらず、リビヤに富を集中させ、ベンガジに対する施策を意図的に放棄した。結果リビヤーベンガジ間を結ぶ道路は整備が行き届かず、両都市を拠点とするプロサッカーチームの試合に関する疑惑などでリビヤとベンガジの関係は冷え込んでいた。このような背景からリビヤの中央政府ベンガジの地方政府、警察、軍隊を掌握しきれていなかった。

ベンガジでの米国の活動:

米国は2012年時点でリビヤに大使館をもち、ベンガジに拠点(Diplomatic Compound)を設けていた。これは大使館でも領事館でもない曖昧な位置づけの国務省の前線拠点であった。Compaundの中には公邸と警備詰所、また近くにはCIAの拠点(CIA Annex)が存在した。ベンガジで米国の外交官は人道支援などの活動を行っていた。CIAの拠点でどのような活動が行われていたかは本書では全く触れられていない。

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内政の不安、預言者ムハンマドを冒涜する映画の公開などにより、ベンガジの外交ミッションは襲撃される危険をつねに感じていた。

在外公館の物理的な警備はおもにU.S. Diplomatic Security Service(通称DS)の主管である。ベンガジにおいてはリビアの17 Feb Militiaという軍隊とDSがCompoundの警備を担当し、本書の主役であるOperatorsはAnnexの警備を担当していた。また当時トリポリからスティーブンス駐リビア大使を警備するためのDSが何名か同行していた。

Compoundへの襲撃:

2012/9/10 21:59に暴徒がコンパウドに侵入。警備が手薄だったことや、17 Febが管理している正面ゲートがなぜか開いていたことから暴徒は発砲することもなく、やすやすとCompaundに入る。そして大使と通信担当が寝ているVillaにガソリンをかけて火を放った。応戦すべき17 Febは不在。CompaundにいたDSは通信ルームと宿舎にいて応戦する間もなくCompaundは暴徒の支配下におかれる。

大使、DSはただちにトリポリに支援をもとめるが即応は不可能である。代わりに実戦経験豊富で装備の充実しているAnnexのOperatorsが救出に向かうことになる。しかしAnnex自体が襲撃される可能性、そしてAnnexにある機密を守ることの重要性から出動はなかなか許可されなかった。Operatorsは後にこの遅れがなければ被害を減らせたと振り返る。

Operators到着時に3名が燃え盛るVillaに閉じ込められており、彼らは通信員の遺体(火災による)を確保した。スティーブン大使は見つからなかったが、新たな襲撃に備えて、比較的警備の強固なAnnexへと退却する。

Annexへの襲撃:

その後11日未明から早朝にかけてAnnexも襲撃をうけ、合計3回の銃撃戦が行われた。Annexは塀も高く、事前に各ビルの屋上に武器・弾薬を用意していたこともあり、屋上からの応戦が効果的におこなわれ、最初の2回の攻撃を比較的簡単に退けた。暴徒はゼラチンとよばれる破壊力におとる爆弾とAK-47で武装し、練度が高いとは感じられなかったという。

Compound襲撃直後にUSAFRICOMが運用する無人機がベンガジをカバーする位置にうごかされたとあり、周辺の状況を俯瞰できる手段が整っていたとかんがえられる。イラクアフガニスタンでの戦闘を経験しているOperatorsが事態にあたってリクエストしたのが無人機のサポート(情報)とAC-130対地攻撃機(火力)だった。またここでTriporiから緊急に送られたDS7名が到着し、脱出の用意が始まる。

ところが3回めのAnnex北側からの攻撃でグレネード( Morters ) が用いられた。Mortorsは空中で爆発し中から細かい金属片をまき散らすもので、Building C屋上で警備にあたっていた3名のうちOperator1名が即死。その他2名が重傷を負う。

戦闘中に市民がCompoundで白人男性の遺体を発見し、近辺の病院にかつぎ込んだ。写真と確認に訪れた現地スタッフによって大使本人の遺体であると確認され、Annexに移送された。

ベンガジから脱出:

Annexから空港までの米国関係者エスコートの命をおびたリビヤ軍が到着し、約20名のアメリカ人が数台の車に分乗し空港にむかう。

外交官、CIAスタッフなどは空港からチャーターした民間機で脱出した。人数の関係で3名の遺体とOperatorsと数名のDSはリビヤ国軍の輸送機にのせられた。

感想:

Operatorsの証言が本書の中枢であり、事実とOperatorsの非常にヒロイックな独白が混在するのは致し方ない。

米国在外公館の警備の手薄さは非難されてしかるべきであるし、特に警備についてリビヤ政府や軍・警察が一切役に立っていなかったと本書は手厳しい。また米国人同士でもDSといういわば正規部隊とOperatorsという寄せ集め集団で様々な待遇の違いがあるというジレンマもみえてくる。ベンガジでの襲撃ではOperatorsの献身的な働きがなければ被害は更に深刻であったのだと思う。

不幸にも命を落とした大使は、本書に引用される日記の記述などをみるに、真に米国とリビヤの関係改善を目指していたと思われるだけに残念である。

さすがに保安のプロが携わっているので警備上の詳細は一切でてこない。

マイケル・ベイが監督して映画化されるという噂もある。そんなんじゃないと思う。。。

もう秋だけど、いまだ悩み多い毎日

研究がおもっていたよりも苦しい。もちろん簡単でないことはわかってたが、正直日々感じる焦りと苛立ちと引け目は予想よりも高い波になって襲ってくる。

苦しさの原因を整理して、この苦しさから開放される方法をさぐりたい。

自覚できる苦しさの原因は以下のとおりだ。

研究に手応えがない

研究の対象が大きくて持て余している。全体を捉えるには部分を一つ一つ丹念に調べていかないといけない。全体は単なる塊ではない。一見塊に見えて近くでよく見ると100万本の絡み合って塊になったものだった。その絡んだ糸を解きほぐして、糸の一本一本の色と長さを調べていくのが今している作業だ。

これに終わりがあるのか?全体を捉えるというおおきな目標に一歩づつでもいいので近寄っているのか確信がもてない。

ベテランの研究者なら素材をもう少し扱いやすく細分化できるのではないかと思うが、私にその技巧はない。

研究テーマを共有出来る人がすくない

研究テーマについて話せる人が少ない。博士の研究だから内容としてはマニアックなものにならざるをえない。新しく発売されたスマートフォンのような多くの人が興味をもってくれる話ではない。そうすると自分の研究内容を人に話すのがなんとなく憚られてくる。そして意識が内面に篭っていく。

週末に発見したことを雑談で話せるような先生・同僚・後輩がいる気が紛れてよいが。

社会人院生の生態自体が周囲に理解されるものではない

忙しいこと、面倒なことは会社の業務でもある。その場合、上司や同僚はなんとなくはこちらが忙しいことをわかって気を使ってくれる。ところが研究はあくまで孤独な作業である。 週末を潰して学会にいったのも、大枚はたいて海外学会にいくのも自分が勝手にしていることである。 研究で疲れ果てた月曜日には、どっさりと仕事がまっている。

遊ぶ時間がない

頭を切り替えて、体を休める時間をつくる方法がまだわかっていない。これは結構致命的。

結局平日は仕事があるから、ほとんど研究できない。だから土日を研究に費やしている。土日は大学図書館、開いてなければ会社に通う。今の作業はインターネット接続と文献へのアクセスが重要なのでカフェではなかなかすすまない。休日の朝から大学図書館、学食でカレーをたべる、午後も図書館で夕方帰宅というサイクルを繰り返す。

同僚から仕事帰りに一杯のお誘い、後輩の結婚式、友達から休日に出かけようというお誘いは断らざるを得ない。心苦しいし、寂しい。

その日々のどこでリフレッシュすればいいというのか。

同年代の周囲の人との比較で惨めに感じる

週末にFacebookをひらくと家族で遊びにいったとか、ツーリングにいったとか、ゴルフでいいスコアがでたとか、純粋に羨ましいとおもう。

NPOの仕事がはじまった

6月から始まったNPOの役員としての仕事が意外と時間を食う。それは仕事自体が大変というより心の切り替えの大変さによるとおもう。会社と大学とNPOの3つの仕事を並行で行うということは、3種類の名刺をもちあるき、3種類のメールアドレスをチェックして、3人以上の上司(あるいは指導教官)と連絡を取るということだ。自分がどの立場で何のために仕事をするかをそのたびに記憶から掘り起こす必要がある。

深夜早朝の仕事増加

前項に関連して、深夜早朝および日本の土日に開催される電話会議への参加が増え、これも体調をくずす原因となっている。

結局のところ…

長々と愚痴ってきてあれば 人生苦しい時が上り坂という言葉を信じて騙し騙しやるしかないのかな?

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今はまだ夜明け前。

「早稲田大学で「ここは勉強するところじゃない」と言われた話 」でおもったこと。

早稲田大学で「ここは勉強するところじゃない」と言われた話 http://anond.hatelabo.jp/20140814201458

増田書いた人が褒められるどころか注意されて萎えちゃった気持ちは理解できる。でも早稲田大の中央図書館にお世話になっている僕がその図書館としての良さをちょっと紹介したい。といっても、比較できるのは慶應大三田、慶応大藤沢、青学大青山の図書館くらいで、大久保も戸山もしらないけど。

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営業日

まず早稲田の図書館は営業日が多いほうだ。夏休みや土日も早稲田大の図書館は結構あいている。年間300日以上営業する数少ない図書館だ。*1まあ日曜とか17時に閉館しちゃうけど、今日読みたい本を明日に伸ばさないでもいいというのは魅力的だ。

蔵書数

そして大学図書館として蔵書数が東大京大につぐ堂々の3位だ。*2 ただ単に本が多けりゃいいってもんじゃないけどね。頼もしい存在ではあるよね。

研究書庫はすばらしい。過去の膨大なジャーナルが縮刷製本されていて、かつ開架においてあるところがすばらしい。手入れもよくて抜けてるとか並び順がおかしいということがあまりない。名門ゴルフ場のグリーンを連想しちゃう。 書架の横にたくさんコピー機がおいてあって、慶応大藤沢にないような古典の論文を揃えるときに重宝する。早稲田の人であの部屋に入ったことのない人は一度見学したほうがいい。

グローバル?

細かいけど重要な点としては館内の英語での案内が徹底しているのも早稲田のいいところだと思う。入り口の案内から書架の横のボードまで日英併記だ。

水平に広い

あと、中央図書館の建築自体がすばらしいよね。都心とは思えないほどスペースを贅沢につかってる。正面入り口から入ったところの平山郁夫の絵は深い森へとそっとのびる小道みたいな絵で、僕はこの絵は「この知の森で存分に遊べ、たまにはなにか役に立つもの発見してこい」という学生・研究者への叱咤激励だと思って眺めている。

中央図書館は地上4階地下2階だての建物で一般書は2階と1階にまとまってる。だから蔵書を手にとるのも簡単だ。 慶應の三田メディアセンターは地上6階地下5階(!)で縦にながい。さらにキャンパス内に図書館旧館、南館図書館というのもあり、本がまんべんなくちらばっている。検索すると借りたい本は2階と地下3階と旧館の5階にあったりする。利用者に上下運動を強いる。かつ詳細は割愛するけど旧館ってのが鬼門、軽めのダンジョンなんだ。

嬉しいプラスアルファ

あと僕が一番いいと思うのは中央図書館は生協食堂が図書館の建物に入っていて、ご飯やお茶ができるってとこだ。勉強がのってきてご飯のために外に出たくない時、雨の日、僕はここを使ってる。ここでお昼食べると、午前と午後で思考が途切れにくい。

というわけで…

早稲田の中央図書館、そしてその他の早稲田の図書館は僕が知る限りけっこうがんばってる。それは直接的には図書館の人、間接的には早稲田大学が図書館をちゃんとしようとしてきた努力の現れであり、注意されちゃったのは残念だけどあんまり気にするなよ。 増田を書いた人も中央図書館で一緒に勉強しよう。夜は高田馬場で僕がいっぱいおごるよ。

ポスター発表@Washington D.C.

海外学会に参加。ポスターセッションをしてきた。ポスターを日本から持参するにはポスターケースを買って手荷物としてつねに持ち歩かないといけない。今回は学会の場所が土地勘が少しあるワシントンD.C.ということもあり、現地で印刷した。

  • 論文を読み足りない。採択された論文のすべてが素晴らしいわけではない。大したこと書いてない論文もたくさんある。だからもっと読んで、真似して、とにかく下手でも書いて出して批判されないと前にすすめない。
  • 応募すれば多分通ると思えるくらいに自分の研究は旬だ。
  • 高等発表は原稿を用意したほうがよい。学会発表には内容もさることながら情報量の多さも重要そう。みんな早口でまくし立てるし、聞き手はそれでもきちんとついていく。

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自身も海外で大活躍した杉山愛クロ現で錦織の活躍を評してこう言っていた。 「好成績は単にテニスの技能だけでなく、英語含めたコミュニケーション能力や人間力もおおきかった。」 次回はもう少し周りの人と積極的に話しかけていこうと思った。

新たに覚えた単語
  • streamline local administration: 地方行政を合理化[能率化]する
  • K12: 小学校と中学校過程の集合の呼称
  • mundane: 平凡な、ありふれた、日常の
  • confluence:【名】〔2本以上の川の〕合流(点), 〔二つ以上の出来事が〕重なった[同時に発生した]状態
  • empirical: 【形】経験による、実験によって立証できる、実験に基づいた、経験主義の、実地経験主義の
  • sarcastic: 皮肉な、嫌味な

北朝鮮のサイバー戦能力

北朝鮮のサイバーセキュリティ関連能力については諸説ある。「アメリカを上回るサイバー戦能力」なんていう人もいた。

オーストラリアのシンクタンクの見立て(2013/12)

Playing blind-man's buff: Estimating North Korea's cyber capabilities - Australian Strategic Policy Institute https://www.aspi.org.au/publications/journal-articles/playing-blind-mans-buff-estimating-north-koreas-cyber-capabilities

アメリカのベンダーの見立て(2014/8)

HP Security Briefing Episode 16, August 2014 Profiling an enigma: The mystery of North Korea’s cyber threat landscape http://h30499.www3.hp.com/hpeb/attachments/hpeb/off-by-on-software-security-blog/388/2/HPSR%20SecurityBriefing_Episode16_NorthKorea.pdf

私の意見はこうだ。

  • サイバー攻撃に関して北朝鮮からと公に避難する声明を出しているのは韓国だけである。
  • そして韓国の政府機関は北の仕業と断定する声明を出すが、その証拠を示さない。
  • リチャード・クラークは北朝鮮は情報化、ネットワーク化が遅れているために外部からの攻撃に強いといっている。それは事実かもしれないが、このご時世ネットワーク化が遅れているということは生産性が恐ろしく低いということである。
  • 所有するネットワーク接続があまりに乏しいため、DDoS攻撃などに脆弱である。

というわけで北朝鮮脅威説には現時点で同意しにくい。

ところでこのブログはとてもよいことが書いてあっておもしろかった。愛国者のひとりとして日本は多様性のある国であってほしいと思う。政治的な問題があるから、朝鮮学校無償化しないというロジックは誤解をおそれずあえて表現するなら「北朝鮮の悪い部分を見倣ったとしか思えない対応」である。

朝鮮学校について、親の立場で考えてみる。」 http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/20110906/1315331441

外務省の出世レースに関する論文

多くの人が気になるところではあるので調べる人がいるのは理解できる。ただしそういう題材はきちんと先行研究を整理し、自らの位置づけをはっきりさせないと、週刊誌の記事になってしまうんだろうな。

戦後日本における外務官僚のキャリアパス http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/11-3/takemoto.pdf

本研究において調べたところ、国際法局条約課長,国際法局法規課長,大臣官房人事課長,大臣官房会計課長,経済局国際機関第2課長,北米局北米第2課長の6つの課長ポジション経験者が次官などへ出世する確立高いそうだ。 法規課長、国際機関第二課長は既に存在しないポストだけど。

ちなみに地方警察はこんな感じ。

警察(いわゆる)ノンキャリアの出世について - Before Cyberspace Falls Down...

記号になる覚悟

鎌倉幕府を開いたのは源頼朝であるが、それは当然ながら頼朝が独力で幕府を打ち立てたわけではない。頼朝と彼を補佐する(おそらくは有能な)人の集団のことを、後の世に生きる我々は略して源頼朝と呼んでいる。つまり、人の名前は個人の人格を離れて、集団を表す記号になることがあるということである。

最近「職人」として生きていたはずの自分が記号にならざるを得ない時がある。期待をうけて身が引き締まるような、おだてられてむず痒いような、この先を考えて責任の重さに胃が重くなるような。

第一に弱い人の痛みに寄り添える人間でありたいと思う。そしてその制限の中で許される限り、周囲の期待に答えられる人でありたいと思う。その順番を間違えないのが記号としての長生きの秘訣ではないかと今は想像している。

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@Tallinn,Estonia

カメルーンのホームレスを研究した大学生

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カメルーンのホームレスを研究した大学生の卒論がおもしろかった。

玉井隆. (2009). 路上生活者の生活実践 -カメルーン・ヤウンデ市を事例として-.

数日だけヤウンデに滞在したことがある。筆者の言うポイントの一つの前を身の危険を感じながらそそくさと歩いて横切った経験もある。正直あのブラックホールのような雑踏の中に足を踏み入れる勇気はなかった。

研究の奥深さを決めるのは、研究対象ではなく研究者自身の斬りこむ力だとあらためて教えられる。 これが学部の卒論っていうんだから恐れ入るよね。

not feeling perfect

I am not feeling perfect recently but show must go on, and I need to travel.

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There was a bombing attack just a day before we arrive. And I try my best to stay in a safer place. 3 killed in explosion at restaurant in Djibouti (http://edition.cnn.com/2014/05/24/world/africa/djibouti-deadly-explosion/)

Two interesting books are out, which sounds like covering network power and hegemony. As both cost more than 50 USD, I will ask the library to purchase these books.

情報覇権と帝国日本I: 海底ケーブルと通信社の誕生

情報覇権と帝国日本I: 海底ケーブルと通信社の誕生

情報覇権と帝国日本II: 通信技術の拡大と宣伝戦

情報覇権と帝国日本II: 通信技術の拡大と宣伝戦

喧嘩しても、軍や政府が民間企業に工作をしかけるのは禁止だからね!

U.S. Charges Against Chinese Hackers Cap Anti-Spying Push - Bloomberg http://www.bloomberg.com/news/2014-05-20/u-s-charges-on-china-hackers-cap-3-year-pressure-drive.html

この記事中のジム・ルイス氏がアメリカの論理を代弁している。

“We’ve told the Chinese we know they spy on us for military purposes and we spy on them for military purposes, which is what big powers do,” said James Lewis, a fellow in cybersecurity at the Center for Strategic and International Studies in Washington. “What’s weird is when you spy purely for commercial purposes, and that has to stop.”

「軍や政府が相互に諜報活動するのはもう避けようがない。」だからアメリカは軍や政府が民間企業に工作をしかけるのは相互に禁止するというルールをつくろうとしている。

そんなルールを中国は受け入れられないだろう。なぜならアメリカ企業への攻撃やめても自国への攻撃はとまらない。「中国のA社は解放軍との関連性がうたがわれる、というか軍の一部である」「中国B社の幹部は共産党の有力者の親戚であり、B社は共産党のもつダミー企業」というロジックで攻撃が正当化されうるからだ。

子供の頃、「兄弟げんかにおいて上半身への攻撃は反則」というルールがあったのを思い出しましたよ。